知り合いに挨拶をして、椅子に腰掛け、話している人に注意を向けた時、その横顔に「こんなに素敵な人がこの世にいるんだ」と驚きました。すぐに、左手薬指の指輪にも気づき、「こんなに素敵な人なんだから結婚していて当然か」と苦笑する思いでした。
話が終わえた彼が、ゆっくりと目線をわたしのほうに動かして目が合った瞬間のことです。
「わたし、この人知ってる。この人はわたしのパートナーだ。え?どうして結婚しているの?」
と、稲妻のように閃いて、息もできず一瞬のうちに宇宙に放り出されたように何も聞こえなくなりました。そして、まるで火山が爆発しているかのように、身体中が小爆発を起こしていました。
会合が終わった後の雑談の時間にも、気になって気になって仕方がありませんでした。それは彼も同様だったようで、何度も目が合い、帰り口に互いに知り合いと連れ立って向かうときも、強烈な引力に引っ張られるようにして、同じエレベーターに乗り合わせました。
深い深い黒い瞳がじっと私を見つめ、わたしも目をそらせずに見つめ返していました。互いの胸に、工業用磁石が埋め込まれていて、それがいきなり引き合うような、理性がなかったら、というよりも周りに人がいなかったらそのまま見つめあって体と体を合わせてしまいそうな力で、惹かれあっているのがわかりました。
自室に戻っても、身も心もしびれているような感覚が続き、じっとベッドの上で膝を抱えてうずくまっていました。
スピリチュアルな本で読んだことはあっても、本当に前世があるとは信じてるとは言えませんでしたが、この日ほど、その存在をリアルに感じたことはありませんでした。
「こんなに魂ごと惹かれる人に出会ったのに、結婚しているなんて」
その日のうちに、気持ちにはケリをつけよう、惹かれてもどうこうなる相手ではない。そういうご縁だったのだ、と自分に言い聞かせてようやく眠りにつきました。
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